実家の駐車場上事務所の道路側ガラス面を利用して
オンラインの世界につながっていない人も
試し読みができるギャラリーを企画・運営します。
道路からの高さも、(一番低いところで)背の高い人の身長ほど、
使える固定ガラスの縦横が約1.8mというのが、ギャラリー名の由来。
中二階なので、しっかり反射して明瞭感には欠けますが
公園や美大に近く、
子どもやおじいちゃんおばあちゃん、大学生の生活道に直結しています。
思いおこせば、竣工直後。
ご近所へのご挨拶時に、全面道路に迫る事務所を見て
「ギャラリーか何かされるんですか?」とも聞かれましたが、
画期的な活用の道を思いつくことなく、幾年月。
今回の新型コロナウィルス自主隔離期間をきっかけに
#わたしたちに今できること を考えた結果、
太陽光が容赦なく直撃する、原画に優しくない展示条件を考えて
子どもも楽しめる本を紹介することにしました。*子ども向きという意味ではありません。
「新しい生活様式」の中で
事務所を通りがかる人々のささやかな楽しみとなり
かつ、作家さんを応援できる場ができれば、と考えています。
「窓1.8mギャラリー」の模様は、
SNSでご紹介する予定です。
STAY HOMEの住宅街と蓮華畑の立て札
買い物に出るたび「みんな何してるんだろう?」と考えずにはいられない町の静けさ。
何が特別に変わった訳でもない住宅街の風景が、
すごく変わったように見えたのは私だけでしょうか。
一方、そもそも露天、通気抜群の商店街は元気で
人の姿に安心感がありました。
新コロナウィルスの自主隔離期間中
うちも家で子どもをみることになったのですが
真っ暗な部屋でありったけのぬいぐるみを総動員し、
自称「考えごと」をする姿に、これはまずいと、
境内をオープンにしているお寺さんで遊ばせてもらうようになりました。
そんなある日の真如堂。満開の蓮華畑を見つけて。
駆け寄ってみたところ
「どうぞ中に入って摘んでください」の小さな立て札を目に。
たった一言ですが、緊張がほどけました。
人の姿はありませんでしたが、商店街で感じたのと同じ安心感がありました。
テディベアを探しに行こう
世界でも自主隔離期間に
社会的距離を確保しながらできる、さまざまな過ごし方が開発されたそう。
特に、なるほどと目を引いたのは
「Teddy Bear Hunt:テディベアを探しに行こう」という記事。
もとは、イギリスの作家Michael Rosenという作家の
子ども向けの本「We’re Going on a Bear Hunt」からヒントを得て
子どもの散歩の楽しみとなるよう、
近所の家々が手持ちのぬいぐるみを窓辺に置き始めたそう。
photographed by Nicolas Gonzalez
真如堂の「どうぞ中に入って摘んでください」の立て札と
この「テディベアを探しに行こう」。
知恵をしぼれば、だれでもすぐに始められることは
まだまだたくさんあることに気付かされました。
本屋さんができないことをやってみる
京都には、ついつい立ち寄りたくなるユニークな町の本屋さんがたくさんあります。
独自のセレクションで文化を発信する本屋さんは
大手ネットストアとは一線を画す存在。
ですが、町の本屋さんは行かないと本に出会えない。
先般の自主隔離期間で、本屋さんですら行けない状況になってみて、
初めて気づきました。
確かに、大手ネットストアには「試し読み」サービスがあります。
ですが、著者名か著作を知らないと検索できないから
オフラインの世界が断たれると、出会えない。
いやいや、そんなの非常時だけの問題でしょ、という声も聞こえてきそうですが
子どもや高齢者など、もともとオンラインの世界につながりの薄い人にとっては
どうやら非常時だけの問題でもなさそうなのです。
そこで考えました。
テディベアの向きを変えるくらいの手軽さで
本屋さんにはできない、私たちのきっかけづくりができたら。
もしかしたら住宅街で感じた違和感を埋めるヒントになるのかも、と
そんなことを考える今日この頃です。