2つの世界の間に1つの文化をとどける

-ものとしての見た目、素材や使い勝手だけが、
建築の居心地の良さを決める訳ではないのかもしれない。

15年前、長く使い続けられる場に必要なデザインとは何かと考えた、
事務所の出発点はそこにありました。

建築がオンラインの世界とも、プロダクトとも違うのは、
建築には敷地があり、どの建築も地球とつながっているということ。

だから、どんなに広い敷地であっても、
だれかの建築がだれかだけのもので終わることはないのです。

 

ミラボの「ミ」は当て字で「3つ」の「ミ」から。

研究、ツアーデザインなど、可能な技術を使って文脈の価値を共有し、
使い方やメンテナンスに光をあてて、
2つの世界の間に1つの文化をとどける
という
私たちの気持ちを掲げました。

例えば、私たちの事務所は、最初に実現した義実家の敷地内にあります。

退職を機に、京都に越して新築することを選択した義両親の未来を考えて、
義両親と私たち子世帯の2つの世界の間に、
文脈から浮かび上がった1つの文化、「庭的」な、
「子世帯ワークプレイス」と「庭」を届けました。

今、時代の変化が、はっきりと目にみえる形になってきました。

新しい時代にふさわしい豊かさとは何だろう。

-建築は小さな子どもやお年寄り、
身体をもつだれもが関わることのできるオフラインのメディア。

-建築は、一旦立ち上がると更新が大変だけれど
使い方、手のかけ方次第で、アップデートされる仕組みはある。

-自分の心地よさを、少しずつお裾分けし、
2倍にも3倍にも広げて、未来の自分へ返す。

こんな話、半年前だったら耳を傾けてくださる人も少なかったかもしれないけれど
少なくとも、私たち自身が、痛感している当事者だから
サイトをリニューアルすることにしました。

デザインは過去と未来、オフラインとオンライン、ローカルと世界など、
分断された世界のかけ橋となるビジョン。

私たちの信じる未来の風を感じている方との出会いを信じて。

2020年6月

目次

スタッフ紹介

田裕枝 Hiroe Yoshida (architect, researcher, guide for ‘cultural’ landscapes)

一級建築士。3 – – l a b代表/管理建築士。博士(環境科学)。

京都大学、大学院、Yale大学大学院(ポストプロフェッショナルプログラム)で、工学士、工学修士、建築学修士(MArch)を取得後、長谷川逸子・建築計画工房株式会社(東京)にて、地方公共空間や舞台芸術の基盤整備の設計、コーディネートを担当。ワークショップ企画運営と公園実施設計を担当した静岡県袋井市月見の里学遊館・公園は、2004年第17回静岡県都市景観賞最優秀賞「静岡県知事賞」を受賞。

2001年退社後より、成安造形大学、京都芸術大学・大学院、にて非常勤講師をつとめ、現在に至る。2005年3 – – l a b(ミラボ)創業。

2018年、重要文化的景観・滋賀県の「高島市針江・霜降の水辺景観」に内在する「景観の関係性」に関する学位論文で、環境科学博士号(滋賀県立大学)取得。京大時代の外国人観光客ボランティアガイド経験を踏まえ、学位論文から得た「食」「ツーリズム」「サステイナビリティ」の3つのキーワードから、フードツアー会社で英語ガイドをつとめ、ツアーデザイン、コーチングを担当。

地域の「文化的」景観継承という3 – – l a bのテーマへの、具体的アプローチのヒントを得て、「文化的」景観ツアーCULTURE loves LANDSCAPES“を準備中。日本都市計画学会・日本造園学会会員。2017年日本都市計画学会年間優秀論文賞受賞(条里制集落居住域における中世から継承された「文化的景観」の特徴-安曇川沖積平野(木津荘、滋賀県)を対象として-

Hiroe Yoshida is an architect, researcher, lecturer and guide for ‘cultural’ landscapes. Hiroe studied at Kyoto University before Yale University School of Architecture (post-professional program). She worked with Itsuko Hasegawa in Tokyo and founded ‘3 – – l a b’ in Kyoto in 2005. After giving a birth to her daughter, she stopped practicing to contemplate if the world really needs new buildings and to study why and how our ancestors bequeathed us a sustainable cultural. Hiroe is interested in cultural landscapes in the middle of architecture, historical geography, rural design, and landscape architecture. In 2018 Hiroe received Ph.D degree from environmental science. In the spring of 2021 Hiroe will launch her project ‘CULTURE loves LANDSCAPES’ to develop cultural literacy of both the local and inbound visitors. She will offer ‘Good morning KYOTO’ tours sharing cultural value.

小谷友樹 Tomoki Odani (architect)

一級建築士。東北大学・大学院(建築)卒業。
2020年現在、株式会社設計組織アモルフ(京都)常勤。日本各地の温泉旅館、ホテル等の設計・監理を行う。新しいツーリズムの形を求め、25年に渡って継続して改修を進める施設も担当する。

3–labの主な受賞歴:
2007年関西電力E・家くらし 住まいの設計コンテスト優秀賞(ミラボと実家)、
2012年Euro Shop JAPAN SHOP Award 一般部門優秀賞受賞(UCHU wagashi)。

私たちの仕事の考え方

私たちの考える自分たちの役割

私たちは、建築を作ることを目的としていません。

建物の規模は、初期投資と将来の維持管理の点からも
コンパクトであるにこしたことはないと考えています。
作らないことが、よりふさわしい選択である場合もあると思います。
構造形式も、素材も、状況により、適材適所で考えます。

建築は手段であり、一つの方法だと考えています。
たとえば、建築だったら、こうできるという。

建築は、プロダクトやオンラインの世界にはない
「身体を持っただれもが関わることのできる、持続力のある場」という特徴を備えています。

建築的な視点と手法の、特徴や意味を理解して、
社会のすきまにある問題を、具体的に、身体感覚に素直に考えることが、
私たちの役割だと考えています。

可能な技術を駆使して、文脈の価値を共有する

まずは、現況の文脈と、今そこにある価値を調べます。

他の業界では当たり前、と一蹴されてもおかしくない、調査→実験→検証→再設計のプロセスは
原寸全体模型を作ることが許されない建築の世界では、
大規模なものを除けば、軽視される傾向にあります。

私たちは、状況にふさわしい方法を選択しながら
学術研究やツアーデザインなど、私たちならではの技術で文脈を吟味し、
土地の持つ文化的価値を分かる形にして共有します。
そして、そのことが土地の資産価値を高めることにつながると考えています。

そこで、どんな状況や環境も、更地ではないことを前提に、
どうしたらうまく利用できるのか、どう手を入れれば愛着が持てるのかを検証し、
残すべき、これから生むべき価値を考えて、場をデザインします。

未来の自分へ返すようにつくる

私たちは、お施主さんやその周りの幸せを考えて、仕事をします。

私たち自身が、10年前に欲しいと願っていたものと、今欲しいものは同じではなく
お施主さんだけの幸せだけに沿って、ものに近づき過ぎてしまうと
10年後にお施主さんも目をそむけたくなる可能性があると考えるからです。

お施主さんだけの幸せを考えないことがむしろ、
将来、2倍も3倍にもふくらむ土地の可能性を、
生かし切る方法だと考えています。

「使い方」と「手の入れ方」に光をあてる

建築ならではの特徴の一つに
「使い方(利用・所有)」「手の入れ方(維持管理)」があります。

たとえば、住宅でいえば、
民泊、サブスクリプション、レンタルスペース、シェアハウスなど、
最近のキーワードはすべて、「利用」「所有」がテーマです。

又、どんな風に誰が清掃するのか、どうやって場の価値を生み出し続けられるのかという
「手の入れ方(維持管理)」についても、
建物の寿命や耐久性に関係するだけでなく、
建築を取り巻く人たちの愛着や、関係性をも左右する、重要な要素だと考えています。

ただし、トレンドの話をしているのではありません。
このテーマは、少なくとも日本では、古来から試行錯誤され続けている、古典的主題です。

この古くて新しい「制度」は、
現在の日本では、習慣や常識など、なんとなく決まってしまっていることが多いため、
淘汰に強い場の立ちあげを願うなら、
ここにメスを入れるのは、革新的で、堅実な方法だと言えます。
案外、オーナーさんの裁量で、あっさり決められることも多いのです。

私たちが2つの世界の間に1つの文化をとどけたい理由

私たちの仕事のミッションは
「2つの世界の間に文化をとどける」ことです。

新しい時代にふさわしい豊かさとは何でしょう。

自分自身が大事にしたいと思う価値が、ありがとうを集めることだと、私たちは考えました。

「お金」と言わずに、「ありがとう」と言い換えたのには理由があります。

お金は評価です。
しかし、ずっと先に発生する価値を
すっきり、即座に、金銭の授受と置き換えることはできない。

「ありがとう」も又、評価です。
「ありがとう」も又、価値を一人だけのものにとどめず、
やり取り可能な形にすることが、すばらしいと思っています。

「ありがとう」を集める文化の場ができると、もっと大きな「ありがとう」が集まります。
そうであれば、「ありがとう」を集める文化の場をつくるということは、
未来のお金のやり取りにつながる仕組みをつくることなのでは?

小さな価値は、機動性が高く、淘汰に強いことが強みです。

これまでの文化が、どんと集められた大きな価値だったとすれば、
これからの文化は、小さな価値をたくさん集めて、大きくする価値なんだと思います。

地球には、分け隔てられた2つの世界がいろいろあります。

身近なところでは、嫁、姑。
過去と未来、オンラインとオフライン。
ローカルとグローバルなど。

でも、もし、2つの世界のはざまに
ありがとうを集める文化の場ができたなら。

文化が「ありがとう」を集めるから、「ありがとう」がどんどん大きくなって、
そのことがお金のやり取りを生んで、「ありがとう」を集める文化の場も持続していく。

ありがとうを集める1つの文化が、分断された世界のかけ橋となって追いかけっこする

そんな卵と鶏のような関係の未来を、私たちは思い描いています。

私たちの仕事の取り組み方

CULTURE loves LANDSCAPESを通して

私たちの具体的な仕事の取り組み方を、
CULTURE loves LANDSCAPES」を例にご紹介します。

この試みは、ツーリズムを切り口として
地域とインバウンド旅行客双方の
「文化的」景観の見方=Cultural Literacyを育成する総合的環境整備です。

これまでも、既にさまざまな町づくり、地域おこしの試みがなされています。

その中で、私たちは、地域の抱える問題、
たとえば、後継者不足、地場産業の衰退などの根本原因は、
地域の人達が、自分の生まれ育った環境に誇りが持てないことだと考えました。

その土地に代々続く家業があって、子供が跡を継ぐことを希望したとしても
来る時代にビジネスにならないから、
都会へ出て行けと親が言う話を耳にしたからです。

そこで、ツーリズムを一過性のイベントとして目的化せず、
地域経済基盤創成のきっかけにしたいと考えています。

その際、当事者(地域の方、インバウンド旅行客)の意識が、
いかに変化するかが重要だと考えています。

ここが変わらない限り、外からどんな産業を輸入したとしても
土地に根を張って、共に育っていくものにはならないからです。

そこで、to Bでは、吉田自身のツーリズムにおける実践を通して、
個と個の草の根的な信頼関係の構築と、ケーススタディにつとめます。

to Cでは、to Bで培ったノウハウと人的ネットワークを生かして
ソフトの調査、開発を入り口に、
ハードの施設の修繕、改修、更新の資金と道筋をつくります。

ツーリズムの実践とデザインの落とし込みを連動させて、
地域の「文化的」景観の見方の底上げに尽力します。

to C:京都「文化的」景観ツアー/Good morning KYOTO

京都のような観光都市の中でも、
いわゆるホットスポットではない、比較的知名度の低い「文化的」景観に焦点を当て
それらを横断的につなげ、テーマ性のあるツアーとして編集することで
インバウンド客の自律的な旅を支援する朝散歩ツアー
「Good morning KYOTO」を企画・運営します。

映画でいうところの「予告編」のようなイメージです。

時差ボケ由来の早朝のアクティビティとして
インバウンド向け朝散歩ツアーのニーズは既に存在します。

さらに、ローカルならではのセレクトで、
季節や祭事ごとにツアーコンテンツを細かく変え
時々の旬な文化価値をプレゼンテーションします。

これらは、オーバーツーリズム解消に有効な方法として挙げられる
「『時間』『場所』『季節』をずらす」を、具体的にデザインしたものです

ここから生まれる、個と個の信頼関係をベースに、
今後の旅程を相談できる、ホテルから飛び出した「コンシェルジュ」として
京都より遠隔にある、非有名観光地域や、既存の優良ツアーの紹介を行うことで、
「文化的」コンテンツに関心のある層の厚みを増強します。

 to C

対象:インバウンド観光客

地域文化価値のシェア

旅のコンシェルジュ・朝散歩ツアーの開催・カスタムツアーデザイン

文化的に深化した見方/広がりある文化体験

to B:2つの世界の間にとどける1つの文化を育てる

私たちは、最終的なゴールを
第三者の力を借りずに、
地域とインバウンド旅行客、双方が、
「文化的価値」と「お金」を自律的に循環させることができる状態だと考えています。

そのためにまず、地域社会のリーダーでもある、
旅館やホテル等の
宿泊施設を対象に、
ソフト・ハード両面でのサポートを行います。

一般的には、施設のテコ入れを目的に、設計事務所に依頼する場合
施設の改修ありきで話が進むと思います。
しかし、実際には、施設の老朽化だけが、経営不振の原因ではない場合が多い。

そこで、まず、物理的投資を必要としない、滞在価値を高める施策を優先します。
以下のフローの通りです。

  1. 情報発信や施設の魅力を含めた現況調査、土地に内在する文化的価値の共有
  2. ウェブサイト等、情報発信方法の見直し
  3. ツアーの提供(ツアーデザイン、ツアーコーチング)
  4. 施設の改修、更新

まず、1.の状況の把握と、問題点、潜在的可能性の掘り起こしです。

集客がふるわないのは
その土地の魅力がうまく伝わる箱になっていないことが原因です。

そのため、まずは、情報発信、サービスの内容等
ボトルネックがある具体的な箇所を、洗いざらい検討していきます。

懸案事項の可視化、共有化も兼ねて、
ツアーをデザインすることも一手だと思います。

宿は、送迎手段を既に持っている場合が多く
日中手の空くスタッフもいます(物理的に手が空いている訳ではないことは、承知しています)

土地の魅力を伝えるツアーができると
まず、スタッフの土地に対する意識が変わります。
同様に、地元の方も、土地の意識が変わってきます。

そうすると、自ずから、お客さまに土地の魅力が伝わり、滞在の満足度が上がります。

ツアーは施設の改修のような規模の投資を必要としないのが魅力です。

魅力的なコンテンツができれば、
情報発信にも相乗効果が生まれます。

情報発信とマーケティングを連動させ、
お客様の声を反映させながら、しかるべき方向性に舵取りし、
少しずつ、集客を増やすことができれば、リスクが少ない上に、
施設の改修、更新の資金繰りに向けて、
定量的な説得力あるデータが得られます。

こうした点から、ソフトからの展開をお勧めしています。

ソフトで得られた信頼関係と資金を、ハードの施設の改修、更新に回して、
段階的に地域全体の魅力を高めて、唯一無二の価値を育てるというのが、
私たちの描く青図です。

 to B

対象:宿・レストラン等の地域施設オーナー(地域リーダー)

現況の問題点の洗い出し・隠れた土地の魅力発掘

ウェブ・SNS等の情報発信の見直し

ツアーデザイン、コーチングによるツアーの実践・地域との連携

文化価値の定量化による資金計画

施設の改修・更新

事務所概要

名称 一級建築士事務所 ミラボ
所在地 〒606-8175 京都市左京区一乗寺築田町85-1
eメール info@3–lab.com
電話 075-202-4844 *初回のお問い合わせも、eメールで頂けるとありがたいです。
ファックス 050-7100-6406
営業時間 10:00-17:00 (土日・祝日・年末年始・夏季休業)
業務内容    1. 文化継承・育成に関する建築の研究調査・仕組設計・設計監理

2. 文化継承・育成に関するインテリアの研究調査・仕組設計・設計監理

3. 文化継承・育成に関する屋外空間の研究調査・仕組設計・設計監理   

4. 文化継承・育成に関する土地・建物利用と維持管理の研究調査・仕組設計

5. 文化継承・育成に関する地域利用、維持管理の研究調査・仕組設計

6. 地域プロデュースに関する研究調査・仕組設計・学習会コーディネート

7. 文化継承・育成に関する研究調査・ツアーデザイン・コーチング

創業 2005年5月23日
代表者 小谷裕枝(管理建築士)
登録 京都府(02A)第00390号                       
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