ミラボと実家|お父さんとお母さんがつくった おじいちゃんとおばあちゃんの家②

事務所で打ち合わせをしていたら
「メロン切ったわよ」という内線があって
「快適なオフィスだね」といわれました

うれしかったです

もくじ

仕事場(はなれ)

できたてほやほやの15年前から、ご案内します。

*右の白丸の→をクリックすると10枚の写真がみられます(一部重複)竣工写真 撮影:入交佐妃

道路に一番近い、駐車場上私たちの事務所

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入口は完全にで、はなれは、ミニキッチンとトイレ付き。

広さ10畳ほどですが、
開口部が大きいので、体感的には、もっと広い。

船の上にいる感じ?

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庭の向こうに、公園が見えます。
東お隣さんの朝日を奪わないよう決めた配置ですが
夏の西日がカーンと差し込み……(自業自得)

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打ち合わせスペースからおもやを見ると、こんな感じ

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道路を歩く人への圧迫感をおさえるため
車がギリギリ入る高さに、はなれレベルを設定。
トップを、二階の手摺高さとしました。

結果、おもやとは半階ずれて。
採光を確保しつつ、おもやのプライバシーを守る形に。

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事務所床はコンクリート打ちっ放し(厚みをおさえるため)

ですが、反響音も大きく寒々しいので
音と光のバランスを考えて
壁と天井に和紙伊予の菊池さんの漉いた泉貨紙をDIYしました。

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道路の上で打ち合わせの感覚
夜はこんな風に。(ここまで遅くはいませんが)

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義実家(おもや)

結婚して半世紀近くお義父さんとお義母さん
いまだに仲良しで、テレビを観る時もソファー隣り合わせ

そんな二人の要望「ワンルーム」

……退職後、ずっと2人で家にいたら、一人になりたいことも?と
個室も提案した
んですけど

……「いらない」と言われました。


お義母さんの希望は、リビングと庭の間の大きなテラス

限りあるリビングを、広々と感じさせる効果があります。

*こちらもシュッとすると10枚でてきます。

少し落ち着いた北側ダイニング。明るさが心配でした。

だったら高窓的に、二階からの光をひっぱれば、 と
かくんかくんと のばした吹き抜け

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だけでなく、熱も循環させます(暖房には、電気式暖炉を採用)

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南に大きい開口でも、軒を深くとれば、冬だけいいとこどり

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吹き抜けのまわりに、家具的な腰壁をめぐらせて
寝室・書斎・ゲストルーム3つのコーナーをつくりました

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自分のつくった仕事場で働き
傍らに義両親が住むリアリティ

……と、ここまでは竣工直後の美しいお話。


実際に新生活がスタートすると、山あり谷あり
生活が軌道に乗るまでには、長い長い年月がかかりました。

オブラートに包んで、ものいわぬ私。お義母さんもまた。
……推して知るべし。

大学の仕事と現場で、不在がちの私。
建材の営業さんへの対応が、義両親にのしかかります。

私は私で、義妹夫婦に先に子どもができたことが重かった。

平日は、行き帰りだけ挨拶しているのですが
おもやへの数歩が遠く感じた時期も……

転機となったのは、娘の誕生。
子はかすがいといいますが、孫は、もっとかすがいです。


娘の誕生前後の変化をこんな風に分析します。

うちの事務所、屋号「3–lab (ミラボ)」といいますが。

「代表者の名前+建築設計事務所」が一般的なところ、
意図的に私の名前を外しました。

屋号を属人的にすると
個人の能力以上に器が成長しないからです。

そのこともあって、こんなイメージで設計しました。

「私たちの仕事場をくっつけて、仕事場が橋渡しをする」

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義両親の橋渡しをするのは「仕事場」

ただ、娘誕生以前「私」橋渡し役になってしまっていた。
この属人性が問題だった。

娘が生まれ
はなれを屋号で呼ぶようになって(例:ちょっとミラボ行ってくる)
私から役割が離れ、関係が変化してきた気がします。

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子どもの成長と共に実感
近くに義両親のありがたさ

ようやく軌道に乗った今、こんなときにありがたさを実感です。

①「ちょっと預かって」が最短

夫も参加の土日の数時間打ち合わせが、めちゃくちゃ楽です。

その後、おもやでご飯の流れ。
仕事終わりの上げ膳据え膳は、天国〜〜〜

②「リモートワーク」しながら安否確認

昨年の緊急事態宣言時にリモートワークになった夫
終日在宅は勘弁してと、事務所をジャック

自宅待機の娘も一緒に、結局家族全員で出勤

打ち合わせスペースでお昼を食べれば
義両親とガラス越しジェスチャーゲーム


リモートワークが進む中、
狭くても便利な都会!派
の人たちが、郊外に家を買い替えブームだとか。


……でも、ちょっと待って!
……実家を仕事場にするって選択肢もあります


子育て世帯が巣立った今
老人街
と揶揄される、郊外型新興住宅地の過疎化が問題になっていますが。

もし、通える範囲に実家があるなら
買い替え前に「実家に仕事場」の選択肢を検討してみては?

友人(フリーランス)が実家にアトリエをつくって
そこに通勤しているのですが
作業中、バタンと音がして、お父さんが倒れていたとか!

私たちみたいなアクロバティックな仕様にしなくても
実家には、まだまだ可能性があると思います。

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注文住宅の注文は 難しい

「義実家+仕事場」の大きな手がかりとなった
私たちの結婚後初めての住まい、京町家

仕事と私生活を切り分けない、グラデーションのある住まい方
私たち世代のふるまい次第で活性化される、高齢者コミュニティ

現代生活にもフィットする、持続性の高い「住まいの型」だと思うんですが

注文住宅ではなく、企画住宅です。

前回の記事で
S. ジョブズの「Connecting the Dots」を引いて、こう書きました。

人は迷子になるとき、
往々にして、世間の物差しにあて
光の当たりやすい点だけをつないでしまう。

だから、自分の物語を走らせることのできる
潜在的可能性を秘めた履歴を見落とし
自分で自分の物語の流れを減じてしまう。

だから他力本願

自分史からヒントを拾い、独力で環境を再編することが難しいから
他者に設計を委ねる。


建築設計では、形をつくる以前のこの物語のもみほぐし(対話)に、
相当なエネルギーを注ぎます。

まずは、心を開いてもらう必要があります。
そのために一番大事なのは、信頼関係。

でも、これを初対面のクライアントと、というのが難しい・・

はじめは大丈夫なようでも
次第に雲行きが怪しくなる場合がある。

一つは、扱う金額が大きいから。
もう一つは、経験値が少なく、先の見えない冒険だから。

特にトラブルの引き金になるのが、お金

みなさん、夢100000%で来られますが
同じカレーであっても
本格派スパイスから、高いお肉で作れば高くなるし
安い野菜でかさましすれば、安くなります。

設計者は魔法使いではないので
物理的にモノをひねり出すことはできません。

相場感覚があるから
これくらい買ったらこれぐらい?と予想しながら進めるだけで
目隠しで買い物をするのと同じ。

大抵、一回目の見積もりで予算通り、という訳にはいかないのですが
そこで、敗北感を味わう方も……

文章でもそうですよね。
書きたいことを、書きたいだけ書いたら、字数は増えます。
でも字数を削れば、言いたいことが浮かび上がってくる。
だから、減額調整は本来、一つの大事な通過点。
「信頼」がものをいう場面です。

*ちなみに同じ図面を描いても、施工者が違えば、見積もりは変わります。
(たとえば左官が不得手な工務店だったら、左官の見積もりは高くなる)

又、クライアントが言い過ぎもいけないし、言わなさすぎもいけない。

時々、ご自身で設計される方がいらっしゃいますが
法規
構造、金額あわせだけの手続き業務は、建築設計とはいえないかも

経験上、ものづくりに経験ある方に、もみほぐしの勘所ある方が多いですが
分野が違えば、事情は変わる。


夫がかつて、シャツをオーダーした時のこと。
難しさに悶絶。

色は?柄は?襟の形は?カフスの形は?ボタンは?

それぞれにサンプルがあっても、全体像がイメージできない。
……できあがったシャツ、あまり袖を通しませんでした。

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新しいライフスタイルのための
メディアがつくりたい


竣工後、雑誌発表しようと思い、出版社を回ったときのことです。

ある住宅雑誌社からこう言われたのを最後に
建築メディアへの道を断ちました。

「商のプログラム付きの住宅は、掲載できません」

そのとき、思いました。

ワークライフバランスって何?
ワークだってライフの一部です。

専業主婦か、共働きか、仕事0かオーバーヒートか
一人でがんばるか、大家族の綱渡りに奔走するか

たくさんあるように見えて
探すとどこにもない、自分にふさわしい住まいの選択肢


「同居でなくても、子どもたちを支援できる距離にいたい」

「いつ呼び出しがあるか分からない、家族の療養をサポートしながら
自分の人生も楽しみたい」

そういう声を受け止める場がないのは、なぜか

窮屈な家族制度、仕事環境、社会の見えない縛り
その一番根っこを形作っているもの
それは、私たち自身がつくりだした「普通」
「当たり前」


注文住宅とは、ファッションでいえば、オートクチュール

文化的素養のある
一部の特権階級(パトロン)
自分のお抱えを囲い込んで成立した時代の、遺産

現代日本

建築教育の教科書
でお手本とされるモダニズム住宅で育った人
どれほどいるでしょう?

父が転勤族だった私。
建築教科書的にいえば、反面教師的な
ごく一般的な日本の集合住宅、社宅で育ちました。

でもそこで、みんなで場を共有することの喜びと可能性を経験しました。
だから、こういう道を選びました。


雑誌に「映える」建物→雑誌掲載→より予算規模の大きな物件
→多くのスタッフを雇用→成長がブランド力→実は自転車操業→ブラックな長時間労働

このスゴロクに、私たちの望む未来はない。

私たち自身がほしかった
0か100かではない、グラデーションある生活

食べる、寝る、語る、遊ぶ、仕事、冒険
すべてがあって、はじめて人は生きる


100%住宅でも、商業建築でも、公共建築でもない
ラベリングを超えた、新しい生き方の選択肢
私がつくりたいのは、そういう新しいライフスタイルのための場


だから私は、既存メディアには頼らず、自分で自分の仕事をつくる
そのために、自分で自分のメディアをつくる

そして、その新しいメディアから、社会のブラックをひっくり返す

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窓18ギャラリー


「注文」という受注形態の、難易度が高いがゆえにいびつな
クライアントワークに依存しすぎると
私たち自身の生活がブラックになる
ことは、既に実証済

社会のブラックに挑戦するには、まず、
自分たちのブラックをひっくり返す必要があります。


ここで、初心に戻る。

既存メディアで最も重要視される、建築の「かたち」
しかしそれ以外にも、名建築の条件はあります。

ものとしての見た目、素材感やスケールだけが
建築の居心地の良さを決める訳ではない

そもそも、私たちのテーマは、
長く使い続けられる場に必要十分なデザインを探すこと。
建築は、目的ではありません。

建築は、手段であり、一つの方法だと考えています。
たとえば、建築だったら、こうできるという。

ただ建築には、他の媒体、特にオンラインの世界にはない
「身体を持っただれもが関わることのできる、持続力のある場」という
特徴があります。ここに魅力を感じてきました。

ネットの世界にアクセスできない
小さい子どもやお年寄り、貧困層、動物、植物、大地

あらゆる存在が関わりあえる場が、建築。


建築的な視点と手法の、特徴や意味を理解して、
社会からこぼれ落ちる問題を、身体感覚に素直に考えるのが
私の持ち味だと思っています。

また、他の業界の常識である、調査→実験→検証→再設計のプロセスは
原寸模型を作ることが許されない建築の世界では、常識ですらない。


だから、学術研究ツアーデザインなど、それぞれの状況にふさわしい
私オリジナルの視点による技術
で、「文脈」を吟味し、
みんなに分かる形で共有することで、場の資産価値を高め
そのことで、長く大事にされる場をつくりたいと思いました。

そこで、私の持ち味 x 社会で求められていること から
自分自身の職能を言葉にしてみると
「設計者」「建築士」「建築家」、どれもピンと来ない。


私が一番大事にしているのは、全体性。
大らかな秩序。

思わず使いたくなる、最適システム(仕組み=器)
ハード(環境)ソフト(運営方法)両方からつくる
「アーキテクト」なんだと思います。

……いや、英語にすると、何いってんのかよくわからない。
ここはある仲間から贈られた言葉を借ります。

目指すはずばり、ワッショイプロデューサー!


その具体的な第一歩が
私たちの事務所スペースの大窓を利用した「窓18ギャラリー」

竣工直後、ご近所の挨拶周りで
「ギャラリーでも始められるのですか?」と聞かれたものの
画期的な使い道を思いつかず、持ちぐされだった大窓
新しい青図を手に、ついに活用します!

道路の上1.8mのところにある、高さ1.8m大窓
「1(イチ)か8(バチ)か」
実践を重ねバグを洗い出すための、実験的なギャラリーです。

思い起こせば、昨年の5月
外出制限が続くある日、気づいた事実。

オフラインの出会いが断たれると、子どもが物語に出会えない。

これは、デジタル化の進む近未来の予告なのかも。


だから、みんなの気持ちが落ち込む今
美大や児童公園に近い、事務所の立地特性を生かして
道すがらの大学生や、子ども高齢者
みんなに楽しんでもらえる物語(四コマ漫画/絵本)
展示します。

月代わりで、私たちの物語と方向性の合うスペシャルなゲストお招き
週代わりで4回、コンテンツを更新の予定。

寄り道ついでに、偶然ぶつかる物語
翌週通りかかったら、お話が進んでる!そんなギャラリー

リアルでのストリーミングのイメージです。

オフラインだけでなく、オンラインの世界も連動。
noteはもとより他SNS(twitter、Instagram)でもご紹介!

トップバッター、6月のゲストは〜〜
みりこさんです!

最近は、コミチという漫画投稿サイトでも大賞を受賞。

数ヶ月前「窓18ギャラリー」の初回ゲストをお願いしたところ
快諾いただいたんですが
そうこうするうち、みりこさんに、ものすごい追い風が!!
(note編集部おすすめx2 + twitter中の人寸評 Kのつく いいね!数)


でも、私個人のひいき目、主観での、ワッショイじゃないんです。
この試みは、私が描く大きな青図の、最初の一手


ありえないほど斬新なコマ割
宇宙人やモンスター、ハイブリッドでキテレツな設定
日常的な世界の破滅

小さい頃、一緒に育った漫画の思い出が強い私には
胃が重くなる、濃い味の今の漫画。

だから、私は漫画を読まなくなりました。


今の私が読みたいのは
日々のくらしの見え方ふっと変わるような「エッセイ漫画」

だけど、今風の濃い味マンガと並べられる
どうしてもインパクトが弱い

「映え」ない。バズらない。コンペに勝てない。
だから、日の目を見ない。

漫画界にも、建築界と同じ
ゆがみの構造が存在する
と思いました。


だけど、それって額縁の問題じゃない?

エッセイ漫画の魅力を最大限に引き出す

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日常という額縁の中で、継続的に作品を見せたら?

これは、既存広告やメディアに対する問題提起
新しいブランディングへの挑戦でもあります。

*

次回は、この新しいブランディングへの挑戦因数分解
その先にある大きな青図について、書いてみようと思います。

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